これは、天皇の国事行為か?

誤り 
天皇の国事行為は、内閣総理大臣の任命であり、指名ではありません。
なお、内閣総理大臣の指名は、国会の権能です

誤り
天皇の国事行為は、憲法改正、法律、政令及び条約を公布することであり、裁可することではありません。
なお、裁可とは、大日本帝国憲法によって天皇に認められていた権能であり、法律に国民を拘束する潜在的な効力を付与する行為のことです。

誤り
天皇の国事行為は、国務大臣の任免を認証することであり、任免それ自体ではありません。
なお、国務大臣の任免それ自体は、内閣総理大臣の権能です。
 

 誤り 
天皇の国事行為は、大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証することであり、これらを決定することではありません。
なお、大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権の決定は、内閣の権能です。

正しい
衆議院の解散は、天皇の国事行為として認められています。
なお、衆議院の解散とは、衆議院議員の任期満了前に衆議院議員全員の資格を失わせることです。
 

2 法人の人権

正しい
憲法第3章に定める国民の権利及び義務の各条項は、性質上可能な限り、内国の法人にも適用されるとしています 八幡製鉄事件 

誤り
会社は、自然人たる国民と同様、国や政党の特定の政策を支持・推進し又は反対するなどの政治的行為をなす自由を有するとしています。 八幡製鉄事件 

誤り
 税理士会が政党など政治資金規正法上の政治団体に金員の寄付をすることは、たとえ税理士に係る法令の制定改廃に関する政治的要求を実現するためのものであっても、税理士会の目的の範囲外の行為であるとしています。 南九州税理士会政治献金事件

正しい
阪神・淡路大震災により被災した兵庫県司法書士会に復興支援拠出金を寄付することは、群馬司法書士会の目的の範囲内の行為であり、そのために復興支援特別負担金を徴収する旨の同会の総会決議は、有効であるとしています。 群馬司法書士会事件
 

3 外国人の人権

正しい
 国家機関が国民に対して正当な理由なく指紋の押捺を強制することは、憲法13条の趣旨に反して許されず、この自由の保障は、我が国に在留する外国人にも等しく及ぶとしています。(指紋押捺拒否事件)

正しい
我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、法律をもって、地方公共団体の長・議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上、禁止されているものではないとしています。 

正しい
地方公共団体が、日本国民である職員に限って管理職に昇任することができることとする措置を執ることは、合理的な理由に基づいて日本国民である職員と在留外国人である職員とを区別するものであり、このような措置は、憲法14条1項に違反するものではないとしています 

正しい
 社会保障上の施策において在留外国人をどのように処遇するかについては、国は、特別の条約の存しない限り、その政治的判断によりこれを決定することがき、その限られた財源の下で福祉的給付を行うに当たり、自国民を在留外国人より優先的に扱うことも許されるとしています。 塩見訴訟

誤り
我が国に在留する外国人は、憲法上、外国へ一時旅行する自由を保障されているものではなく、再入国の自由も保障されないとしています。 森川キャサリーン事件 

4 外国人の人権

誤り
国家機関が国民に対して正当な理由なく指紋の押捺を強制することは、憲法13条の趣旨に反して許されず、この自由の保障は、我が国に在留する外国人にも等しく及ぶとしています。 指紋押捺拒否事件 

正しい
我が国に在留する外国人は、憲法上、外国へ一時旅行する自由を保障されているものではないとしています。 森川キャサリーン事件 

正しい
政治活動の自由は、我が国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないものを除き、その保障が及ぶとしています。 マクリーン事件 

正しい
国の統治のあり方については国民が最終的な責任を負うべきものである以上、外国人が公権力の行使等を行う地方公務員に就任することはわが国の法体系の想定するところではないとしています 

正しい
社会保障上の施策において在留外国人をどのように処遇するかについては、国は、特別の条約の存しない限り、その政治的判断によりこれを決定することができるとしています
塩見訴訟 

6 公務員の人権・在監者の人権

正しい
公務員の政治的中立性を損なうおそれのある公務員の政治的行為を禁止することは、それが合理的で必要やむを得ない限度にとどまるものである限り、憲法の許容するところであるとしています(猿払事件) 

誤り
国家公務員法が禁止する「政治的行為」とは、公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが観念的なものにとどまらず、現実的に起こり得るものとして実質的に認められるものを指すとしています(堀越事件) 

正しい
喫煙の自由は、憲法13条の保障する基本的人権の一つに含まれるとしても、あらゆる時、所において保障されなければならないものではなく、在監者の喫煙を禁止することは、必要かつ合理的な規制であるとしています。 

誤り
在監者の閲読の自由に対する制限が許されるためには、当該閲読を許すことにより監獄内の規律及び秩序が害される一般的・抽象的なおそれがあるだけでは足りず、その閲読を許すことにより、監獄内の規律及び秩序の維持上放置することのできない程度の障害が生ずる相当の蓋然性があると認められることが必要であるとしています (よど号ハイジャック記事抹消事件) 

7 人権の私人間効力

誤り
私人間の関係においても、相互の社会的力関係の相違から、一方が他方に優越し、事実上後者が前者の意思に服従せざるを得ない場合があるが、このような場合でも、憲法の基本権保障規定の適用ないし類推適用を認めるべきではないとしています 

誤り
私立学校は、建学の精神に基づく独自の教育方針を立て、学則を制定することができ、学生の政治活動を理由に退学処分を行うことは、懲戒権者に認められた裁量権の範囲内にあり、憲法19条に違反しないとしています (昭和女子大事件 

誤り
 就業規則中、女子の定年年齢を男子より低く定めた部分は、性別のみによる不合理な差別を定めたものとして、民法90条の規定により無効であるとしており(日産自動車事件)、経営上の合理性が認められる場合に、男女間で定年に差異を設けることを禁止するものではありません。

正しい
 国が行政の主体としてでなく私人と対等の立場に立って、私人との間で個々的に締結する私法上の契約は、当該契約がその成立の経緯及び内容において実質的にみて、公権力の発動たる行為と何ら変わりがないといえるような特段の事情のない限り、憲法9条の直接適用を受けないとしています (百里基地訴訟)

誤り
企業者が、特定の思想・信条を有する者をそれを理由として雇い入れることを拒んでも、それを当然に違法としたり、直ちに民法上の不法行為とすることはできないとしています(三菱樹脂事件) 

8 プライバシー権

誤り
何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう等(容ぼう・姿態)を撮影されない自由を有するとしています。 京都府学連事件
しかし、同判例は、警察官が犯罪捜査の必要上写真を撮影する際、その対象の中に犯人のみならず、第三者である個人の容ぼう等が含まれていても、これが許容される場合があるとしています。 

誤り
 ある者の前科等にかかわる事実は、刑事事件・刑事裁判という社会一般の関心・批判の対象となるべき事項にかかわるものであるから、事件それ自体を公表することに歴史的・社会的な意義が認められるような場合には、事件の当事者についても、その実名を明らかにすることが許されないとはいえないとしています (ノンフィクション「逆転」事件)

誤り
指紋は、性質上、万人不同性、終生不変性をもつので、採取された指紋の利用方法次第では、個人の私生活あるいはプライバシーが侵害される危険性があるとしています。 指紋押捺拒否事件 

誤り
犯罪を犯した少年を特定することが可能な記事を掲載した場合、この記事の掲載によって不法行為が成立するか否かは、被侵害利益ごとに、違法性阻却事由の有無等を審理し、個別具体的に判断すべきであるとしています。 長良川事件報道訴訟

正しい
いわゆる住基ネットによって、管理・利用等される氏名・生年月日・性別・住所からなる本人確認情報は、社会生活上は一定の範囲の他者には当然開示されることが想定され、個人の内面に関わるような秘匿性の高い情報とはいえないとしています。 住基ネット訴訟

9 プライバシー権
最高裁は、「住基ネット」について、憲法13条の保障する自由を侵害するものではない旨を判示している。

以下、判決の論旨に含まれていないものはどれか?

含まれている
住基ネット訴訟における最高裁判所判決は、憲法13条は、国民の私生活上の自由が公権力の行使に対しても保護されるべきことを規定しており、なんびとも、個人に関する情報をみだりに第三者に開示または公表されない自由を有するとしています

含まれていない
自己に関する情報をコントロールする個人の憲法上の権利(プライバシー権)の性質、すなわち私生活の平穏を侵害されないという消極的な自由か、自己の情報について閲覧・訂正ないし抹消を公権力に対して積極的に請求する権利をも包含するかについて、判示したわけではありません

含まれている
氏名・生年月日・性別・住所という4情報は、人が社会生活を営む上で一定の範囲の他者には当然開示されることが予定されている個人識別情報であり、個人の内面に関わるような秘匿性の高い情報とはいえないとしています

含まれている
本人確認情報の管理、利用等は、法令等の根拠に基づき、住民サービスの向上および行政事務の効率化という正当な行政目的の範囲内で行われているものということができるとしています

含まれている
住基ネットにおけるシステム技術上・法制度上の不備のために、本人確認情報が法令等の根拠に基づかずに、または正当な行政目的の範囲を逸脱して第三者に開示・公表される具体的な危険が生じているということはできないとしています

12 法の下の平等

正しい
憲法が条例制定権を認める以上、条例の内容をめぐり、地域間で差異が生じることは当然に予期されることであるから、一定の行為の規制につき、ある地域でのみ罰則規定が置かれている場合でも、地域差のゆえに違憲ということはできないとしています 

正しい
選挙制度を政党本位のものにすることも国会の裁量に含まれるので、衆議院選挙において小選挙区選挙と比例代表選挙に重複立候補できる者を、一定要件を満たした政党等に所属するものに限ることは、憲法に違反しないとしています

正しい
法定相続分について嫡出性の有無により差異を設ける規定は、相続時の補充的な規定であることを考慮しても、もはや合理性を有するとはいえず、憲法に違反するとしています

誤り
尊属に対する殺人を、高度の社会的非難に当たるものとして一般殺人とは区別して類型化し、法律上刑の加重要件とする規定を設けたとしても、かかる差別的取扱いをもって、直ちに合理的な根拠を欠くものと断ずることはできないとしています。
なお、この判例は、尊属に対する殺人の法定刑を、死刑又は無期懲役刑に限っている点が、不合理な差別として、憲法に違反するとしています。

正しい
父性の推定の重複を回避し、父子関係をめぐる紛争を未然に防止するために、女性にのみ、100日を超える再婚禁止期間を設けることは、立法目的との関係で合理性を欠き、憲法に違反するとしています

14 議員定数不均衡

正しい
議員定数配分規定は、その性質上、不可分の一体をなすものと解すべきであり、憲法に違反する不平等を生ぜしめている部分のみならず、全体として、違憲の瑕疵を帯びるものと解すべきであるとしています。 衆議院議員定数不均衡訴訟

誤り
憲法上要求される合理的期間内の是正が行われないとき初めて議員定数配分規定が憲法に違反するとしています。(衆議院議員定数不均衡訴訟)
したがって、投票価値の不平等が、国会の合理的裁量の範囲を超えると判断される場合でも、不均衡の是正のために国会に認められる合理的是正期間を経過していなければ、選挙は違憲・違法となるわけではありません。

誤り
投票価値の平等は、選挙制度の決定について国会が考慮すべき唯一絶対の基準ではなく、国会は、衆議院及び参議院それぞれについて、他に考慮することのできる事項をも考慮して、公正かつ効果的な代表という目標を実現するために適切な選挙制度を具体的に決定することができるとしています。 衆議院議員定数不均衡訴訟

誤り
参議院は衆議院とともに国権の最高機関として適切に民意を国政に反映する責務を負っていることは明らかであって、参議院議員選挙であること自体から、直ちに投票価値の平等の要請が後退してよいと解すべき理由は、見出し難いとしています。 参議院議員定数不均衡訴訟

誤り
公職選挙法の規定は、憲法の投票価値の平等の要請を受け、地方公共団体の議会の議員の定数配分につき、人口比例を最も重要かつ基本的な基準とし、各選挙人の投票価値が平等であるべきことを強く要求しているとしています

15 思想及び良心の自由、信教の自由

誤り
憲法19条の「思想及び良心の自由」は、信教の自由の場合と同様に、固有の組織と教義体系を持つ思想・世界観のみが保護されるとした判例はありません。
なお、このように述べたのは、謝罪広告強制事件における担当裁判官の補足意見です。

誤り
謝罪広告を新聞紙等に掲載すべきことを加害者に命ずることは、それが単に事態の真相を告白し陳謝の意を表明するにとどまる程度のものであれば、代替執行の手続によって強制執行しても、加害者の倫理的な意思・良心の自由を侵害するものではないとしています。

誤り
宗教法人に関する法的規制が、信者の宗教上の行為に何らかの支障を生じさせることがあるとするならば、信教の自由の重要性に思いを致し、憲法がそのような規制を許容するものであるかどうかを慎重に吟味しなければならないとしており(オウム真理教解散命令事件)、すべての宗教に平等に適用される法律(宗教法人法)が違憲となる余地を認めています

誤り
県が靖国神社等に対して玉串料の名目で公金を支出したことは、憲法に違反するとしています。 愛媛県玉串料事件

正しい
国公立学校で真摯な宗教的理由から体育実技を履修できない学生に対する代替措置は、目的において宗教的意義を有し、特定の宗教を援助・助長・促進する効果を有するものということはできず、他の宗教者又は無宗教者に圧迫・干渉を加える効果があるともいえないことから、認められるとしています。 剣道実技拒否事件

17 信教の自由・政教分離原則

誤り
憲法20条3項により禁止される「宗教的活動」とは、行為の目的が宗教的意義をもち、その効果が宗教に対する援助・助長・促進又は圧迫・干渉等になるような行為をいうとしています。 津地鎮祭事件

誤り
憲法が公金の支出を禁じている宗教上の組織・団体とは、宗教と何らかのかかわり合いのある行為を行っている組織・団体のすべてを意味するものではなく、宗教活動を本来の目的とする組織・団体を指すものとしています。
したがって、宗教と何らかのかかわり合いのある行為を行っている組織ないし団体であれば、これに対する公金の支出を禁じているとする、本肢の前半は妥当でないといえます。

誤り
神社が主催する行事に際し、県が公費から比較的低額の玉串料等を奉納することは、これによりもたらされる県と神社とのかかわり合いが我が国の社会的・文化的諸条件に照らし相当とされる限度を超えるものであって、憲法に違反するとしています。 愛媛県玉串料事件

誤り
静謐な宗教的環境の下で信仰生活を送るべき利益は、直ちに法的利益として認めることができない性質のものであるとしています。(自衛官合祀拒否訴訟)
したがって、宗教上の感情を被侵害利益として損害賠償や差止めを請求するなど、法的救済を求めることは、原則としてできません。

正しい
解散命令などの宗教法人に関する法的規制が、信者の宗教上の行為を法的に制約する効果を伴わないとしても、そこに何らかの支障を生じさせるならば、信教の自由の重要性に配慮し、規制が憲法上許容されるか慎重に吟味しなければならないとしています。 オウム真理教解散命令事件

18 表現の自由・法廷内における傍聴人のメモ採取

誤り
レペタ事件における判決は、司法記者クラブ所属の報道機関の記者に対してのみ、法廷においてメモを取ることを許可することも、合理性を欠く措置ということはできないとしています

正しい
憲法82条1項は、裁判の対審及び判決が公開の法廷で行われるべきことを定めているが、その趣旨は、裁判を一般に公開して裁判が公正に行われることを制度として保障し、ひいては裁判に対する国民の信頼を確保しようとすることにあるとしています

正しい
憲法21条1項は表現の自由を保障しており、各人が自由にさまざまな意見、知識、情報に接し、これを摂取する機会をもつことは、個人の人格発展にも民主主義社会にとっても必要不可欠であるから、情報を摂取する自由は、右規定の趣旨、目的から、いわばその派生原理として当然に導かれるとしています

正しい
さまざまな意見、知識、情報に接し、これを摂取することを補助するものとしてなされる限り、筆記行為の自由は、憲法21条1項の規定の精神に照らして尊重されるべきであるが、これは憲法21条1項の規定によって直接保障される表現の自由そのものとは異なるから、その制限又は禁止には、表現の自由に制約を加える場合に一般に必要とされる厳格な基準が要求されるものではないとしています

正しい
レペタ事件における判決は、傍聴人のメモを取る行為が公正かつ円滑な訴訟の運営を妨げるに至ることは、通常はあり得ないのであって、特段の事情のない限り、これを傍聴人の自由に任せるべきであり、それが憲法21条1項の規定の精神に合致するとしています

19 集会の自由

正しい
集会の自由の制約は、基本的人権のうち精神的自由を制約するものであるから、経済的自由の制約における以上に、厳格な基準の下にされなければならないとしています。 泉佐野市民会館事件

誤り
市民会館の使用を不許可とすることができるのは、市民会館における集会の自由を保障することの重要性よりも、市民会館で集会が開かれることによって、人の生命・身体又は財産が侵害され、公共の安全が損なわれる危険を回避し、防止することの必要性が優越する場合に限定され、その危険性の程度は、単に危険な事態を生ずる蓋然性があるというだけでは足りず、明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されることが必要であるとしています

誤り
公共用財産である皇居外苑の利用の不許可処分は、表現の自由又は団体行動権自体を制限することを目的としたものでないことは明らかであるから、公園管理権の運用を誤ったものとは認められず、憲法21条・28条に違反するものではないとしています。 皇居前広場事件

正しい
地方公共団体が、純粋な意味における表現といえる出版等についての事前規制である検閲が憲法21条2項によって禁止されているにもかかわらず、いわゆる「公安条例」をもって、地方的情況その他諸般の事情を十分考慮に入れ、不測の事態に備え、法と秩序を維持するために必要かつ最小限度の措置を事前に講ずることは、やむを得ないとしています。 東京都公安条例事件

23 学問の自由

正しい
学説上は、学問研究を使命とする人や施設による研究は、真理探究のためのものであるとの推定が働くと考えられてきました。

先端科学技術をめぐる研究であっても、罰則によって特定の種類の研究活動が規制されることがあります。例えば、ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律は、ヒトクローン胚などを、人または動物の胎内に移植することを禁止し、これに違反した場合の罰則が規定されています。

正しい
大学の学生が学問の自由を享有し、また大学当局の自治的管理による施設を利用できるのは、大学の本質に基づき、大学の教授その他の研究者の有する特別な学問の自由と自治の効果としてであるとしています。 ポポロ事件

正しい 
学生の集会が、実社会の政治的・社会的活動に当たる行為をする場合には、大学の有する特別の学問の自由と自治は享有しないとしています

正しい
普通教育において児童生徒の教育に当たる教師にも教授の自由が一定の範囲で保障されると
しても、完全な教授の自由を認めることは、到底許されないとしています。 旭川学テ事件

26 財産権 ため池の堤とう(堤塘)の使用規制

妥当である
堤とうを使用する権利を有する者の財産権行使がほとんど全面的に禁止されることとなるが、それは災害を未然に防止するという社会生活上のやむを得ない必要から来ることであって、堤とうを使用する財産上の権利を有する者は何人も、公共の福祉のため当然これを受忍しなければならないとしています。

妥当である
ため池の破損・決壊の原因となる堤とうの使用行為は、憲法・民法の保障する財産権の埒外にあるとしています。

妥当である
憲法・民法の保障する財産権の行使の埒外にある行為を条例で処罰・禁止しても、憲法及び法律に抵触も逸脱もしないとしています。

妥当である
事柄によっては、国において法律で一律に定めることが困難又は不適当なことがあり、その地方公共団体ごとに条例で定めることが容易かつ適切であり、ため池の保全の問題は、まさにこの場合に該当するとしています。

妥当でない
財産権の内容を条例で規制する場合とその行使を条例で規制する場合とで、区別しているわけではありません。

27 法定手続の保障

第31条 なんびとも、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない。

誤り
条例によって刑罰を定める場合には、法律の授権が相当な程度に具体的であり、限定されていれば足りるとされており、条例によって刑罰その他についての手続を定めることも許される場合があります。

誤り 
日本国憲法は、31条とは別に罪刑法定主義の条文をもっているわけではありません。

誤り 
行政手続については、刑事手続ではないとの理由のみで、その全てが当然に憲法31条の定める法定手続の保障の枠外にあると判断すべきではないとされています(成田新法事件)
したがって、行政手続などの非刑事手続についても、憲法31条の趣旨が適用されることがあります。

正しい
憲法31条は、その文言上は、手続の法定のみを要求しています。しかし、通説的見解は、手続の法定に加えて、その手続の適正をも要求していると考えています。

誤り 
アメリカの学説である手続的デュープロセス論とは、手続を単に法律で定めるだけではなく、その内容も適正でなければならないとするものです。
したがって、憲法31条は、手続的デュープロセス論を否定したものではなく、同様のことを述べたものといえます。

28 人身の自由

正しい
なんびとも、実行の時に適法であった行為又はすでに無罪とされた行為については、刑事上の責任を問われないとされています。
これは、遡及処罰(事後法)の禁止と、一事不再理を規定したものです。

正しい
強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができないとされています。これを自白法則といいます。

誤り
なんびとも、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第33条の場合(逮捕された場合)を除いては、正当な理由に基づいて発せられ、かつ捜索する場所及び物を明示する令状がなければ、侵されないとされています。
したがって、逮捕された場合には、侵入等について令状がなくても可能とされています。

正しい
すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有するとされています。
このように、刑事被告人については、① 公平な裁判所の、② 迅速な、③ 公開裁判を受ける権利を保障しています。

正しい
なんびとも、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならないとされています。
拘禁の場合は抑留の場合よりも人身の自由に対する制約が大きいので、捜査機関による不当な拘禁を防止するため、公開の法廷において理由を示すこととされています。

29 社会権

正しい
憲法25条の規定の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定は、立法府の広い裁量に委ねられているとしています。 堀木訴訟

正しい
国は、国政の一部として広く適切な教育政策を樹立・実施すべく、また、しうる者として、憲法上は、子ども自身の利益の擁護のため、あるいは子どもの成長に対する社会公共の利益と関心にこたえるため、必要かつ相当と認められる範囲において、教育内容についてもこれを決定する権能を有するとしています。 旭川学テ事件

誤り
勤労者の団結権・団体交渉権・争議権等の労働基本権は、すべての勤労者に通じ、その生存権保障の理念に基づいて憲法28条の保障するところであるとしています。 全逓東京中郵事件
したがって、労働基本権に関する憲法上の規定は、個々の国民に直接に、具体的権利を付与したものといえます。

正しい
憲法28条の労働基本権の保障は公務員に対しても及ぶが、この労働基本権は、勤労者をも含めた国民全体の共同利益の保障という見地からする制約を免れないとしています。 全農林警職法事件

正しい
義務教育の無償とは、授業料の他に教科書・学用品その他一切の費用まで無償としなければならないことを定めたものではなく、「無償」とは授業料不徴収の意味であるとしています。

31 労働基本権

誤り 
労働組合は、統一候補以外の組合員で立候補しようとする者に対し、立候補を取りやめることを要求し、これに従わないことを理由に当該組合員を統制違反者として処分することは、労働組合の統制権の限界を超えるものとして違法となるとしています。 三井美唄事件

正しい
労働者の権利利益に直接関係する立法や行政措置を促進し、又はこれに反対する活動は、政治活動としての一面をもち、組合員の政治的思想・見解等とも無関係ではないが、労働組合の目的の範囲内の活動とみることができるので、組合員に費用負担などを求めることも許されるとしています。 国労広島地本事件

誤り 
東京都教組事件判決は、公務員の争議行為をあおる行為の処罰が憲法上許されるのは、違法性が強い争議行為に対し、争議行為に通常随伴しない態様で行われる場合に限られるとしていました(二重のしぼり論)。
しかし、岩手教組学テ事件判決は、判例を変更し、このような解釈は妥当でないとしています。

誤り 
政治的目的のために争議行為を行うことは、私企業の労働者であるか公務員であるかを問わず憲法28条の保障を受けないから、これを規制することも許されるとしています。 全農林警職法事件

誤り 
人事院勧告は公務員の争議行為禁止の代償措置であるが、この実施が凍結されたとしても、国家公務員の労働基本権の制約に対する代償措置がその本来の機能を果たしていなかったということはできず、勧告に従った給与改定が行われない場合に、それに抗議して争議行為を行った公務員に対し、懲戒処分を行うことも許されるとしています

33 受益権

誤り 
請願権は、日本国憲法の明文によって認められています。
なお、請願権の保障は、請願を受理した機関にそれを誠実に処理する義務を負わせるにとどまり(請願法5条)、当該機関に請願の内容を審理・判定させる法的拘束力を生じさせるものではないとされています。

誤り 
憲法32条の裁判を受ける権利は、政治権力から独立した公平な裁判所以外の機関から裁判されることのない権利にすぎず、訴訟法で定める管轄権を有する具体的裁判所において裁判を受ける権利をも保障したものではありません。

正しい 
憲法17条は、国又は公共団体が公務員の行為による不法行為責任を負うことを原則とした上、公務員のどのような行為によりいかなる要件で損害賠償責任を負うかを立法府の政策判断に委ねたものであって、立法府に無制限の裁量権を付与するといった法律に対する白紙委任を認めているものではありません。 郵便法違憲判決

誤り 
郵便物の亡失・毀損等についての損害賠償責任を制限・免除している郵便法の規定は、憲法17条に違反します。 郵便法違憲判決

誤り 
刑事補償請求権は、国家賠償請求権と異なり、公務員の違法行為や故意・過失の有無にかかわらず請求することができます。

34 国民の代表機関
憲法43条1項は、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」と定める。
この「全国民の代表」に関わる次の記述のうち、妥当なものはどれか。

誤り 
大日本帝国憲法では、国会は天皇の立法権に協賛する機関にすぎず、国民の意思を反映して行動する機関ではなかったことから、「全国民の代表」とはいえませんでした。 

誤り 
「全国民を代表」とは、国民は代表者である国会議員を通じて行動し、国会議員が行った行為は、その国会議員を選挙で選んだ国民の意思を反映しているものと考えられるという意味であり(政治的意味の代表)、法的に国民と代表者の政治的意思の一致が要求されているわけではありません。

誤り 
国会議員は政党の一員として活動することにより全国民の代表としての任務を果たしうることから、議員が政党の党議拘束に服することも、憲法上許されます。

正しい 
議員は議会で自己の信念のみに基づいて発言・表決すべきであり、選挙区など特定の選出母体の訓令に法的に拘束されない、との原則は、自由委任の原則と呼ばれています。

誤り 
国会議員は、比例代表選出議員を除き、所属政党から離脱したとしても議員としての資格を失うわけではありません。

35 両院協議会
両院協議会を必ずしも開かなくてもよいとされている場合は、どれか?

開かなければならない 
衆議院が先議した予算について参議院が異なった議決を行った場合、両院協議会を開かなければなりません。 

開かなければならない 
内閣総理大臣の指名について衆参両院が異なった議決を行った場合、両院協議会を開かなければなりません。

必ずしも開かなくてもよい 
衆議院で可決された法律案を参議院が否決した場合、両院協議会を必ずしも開かなくてもよいとされています。

開かなければならない 
衆議院が承認した条約を参議院が承認しない場合、両院協議会を開かなければなりません。

開かなければならない 
参議院が承認した条約を衆議院が承認しない場合、両院協議会を開かなければなりません。

36 議院の権能はどれか?

誤り 
常会の会期は、150日間と法定されています。
また、臨時会及び特別会の会期は、両議院一致の議決で、これを定めることとされています。
したがって、会期の決定は、議院の権能ではありません。

正しい 
両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判することとされています。
したがって、議員の資格争訟は、議院の権能です。

誤り 
国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設けることとされています。
したがって、裁判官の弾劾は、国会(弾劾裁判所)の権能です。

正しい 
両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定めることができます。
したがって、議院規則の制定は、議院の権能です。

正しい 
両議院は、各々国政に関する調査を行い、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができます。
したがって、国政に関する調査は、議院の権能です。

37  国会

正しい 
憲法57条3項は、「出席議員の5分の1以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない」と規定しています。

誤り 
法律案の提出については、憲法上、明文の規定はありません。
なお、法律上、国会議員及び内閣に法律案の提出権が認められています。

正しい 
憲法51条は、「両議院の議員は、議院で、行った演説、討論又は表決について、院外で責任を問われない」と規定しています。

正しい 
憲法56条1項は、「両議院は、各々その総議員の3分の1以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない」と規定しています。

正しい
憲法59条2項は、「衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる」と規定しています。

38  内閣

誤り 
内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名するとされており、必ずしも衆議院議員の中から指名しなければならないというわけではありません。

誤り
内閣総理大臣は、国務大臣を任命するのであり、指名するわけではありません。
また、天皇は、国務大臣を認証するのであり、任命するわけではありません。

誤り
内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならないとされており、直ちに総辞職をしなければならないというわけではありません。

誤り
内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があったときは、内閣は、総辞職をしなければならないとされており、総選挙の結果が確定すると同時に、直ちに総辞職をしなければならないというわけではありません。

正しい
総辞職をした場合、内閣は、新たに内閣総理大臣が任命されるまで引き続き、その職務を行います。

39  内閣

誤り 
内閣総理大臣は、国務大臣を任命しますが、この任命について国会の同意は不要です。
なお、国務大臣の過半数は国会議員でなければならないという点は妥当です。

誤り
閣議により内閣が職務を行うべきことを定めているのは、憲法ではなく内閣法です。
なお、閣議の意思決定方法については憲法の規定がなく、慣例により全員一致で閣議決定が行われてきたという点は妥当です。

誤り 
国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ訴追されません。
しかし、憲法は、国務大臣が逮捕されないことまでは規定していません。

正しい 
法律および政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することが必要とされています。これは、執行責任を明らかにするためです。

誤り 
内閣は、行政権の行使について、国会に対し、連帯して責任を負います。
したがって、衆議院のみならず、参議院に対しても責任を負います。

40 内閣の責任

誤り 
内閣は、行政権の行使について、国会に対し、連帯して責任を負います。
したがって、内閣は、衆議院に対してのみならず、参議院に対しても責任を負っています。

誤り 
内閣は、行政権の行使について、国会に対し、連帯して責任を負うものとされていますから、日本国憲法は、内閣の連帯責任を規定しています。
しかし、特定の国務大臣が、個人的理由に基づき又はその所管事項について、単独で責任を負うことも、憲法上、否定されているわけではありません。

誤り 
明治憲法(大日本帝国憲法)では、内閣という組織が存在しなかったため、各国務大臣が単独で天皇に対して責任を負うものとされていました。
したがって、明治憲法では、君主に対する内閣の連帯責任は規定されていません。

誤り 
内閣は、内閣不信任決議後、10日以内に衆議院が解散されなかった場合、 内閣総理大臣が欠けた場合、衆議院議員総選挙後に、初の国会が召集された場合には、総辞職をしなければなりません。
したがって、日本国憲法のもとでは、総辞職が必要的に要求されることもあります。

正しい
内閣の連帯責任は、損害賠償責任・刑事責任のような法的責任(法律上の義務)を意味するものではなく、国民からの政治的批判を受けるという政治責任を意味します。

42  司法権の限界

正しい 
大学は、国公立であると私立であるとを問わず、自律的な法規範を有する特殊な部分社会を形成しているから、大学における法律上の紛争は、一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、その自主的・自律的な解決にゆだねられるとしています。 富山大学事件

正しい 
裁判所は、両院の自主性を尊重すべく、警察法制定の議事手続に関する事実を審理してその有効無効を判断すべきでないとしています。 警察法改正無効事件

正しい
政党については、高度の自主性と自律性を与えて自主的に組織運営をなしうる自由を保障しなければならず、政党が、党員に対してした処分が一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審判権は及ばないとしています。 共産党袴田事件

誤り 
衆議院の解散は、極めて政治性の高い国家統治の基本に関する行為であって、このような行為について、その法律上の有効無効を審査することは、司法裁判所の権限の外にあるとしています。 苫米地事件
したがって、衆議院の解散がいかなる場合に許されるかについても、これを行うために憲法上必要とされる助言と承認の手続に瑕疵があったか否かについても、ともに裁判所の審査権は及びません。

正しい 
訴訟が具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争の形式をとっている場合でも、信仰の対象の価値又は宗教上の教義に関する判断が訴訟の帰趨を左右する必要不可欠なものと認められ、訴訟の争点及び当事者の主張立証の核心となっているときには、その訴訟は実質において、法令の適用によっては終局的な解決の不可能なものであって、法律上の争訟に当たらないとしています。 「板まんだら」事件

43 司法権の限界

正しい
訴訟が具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争の形式をとっている場合でも、信仰の対象の価値又は宗教上の教義に関する判断が訴訟の帰趨を左右する必要不可欠なものと認められ、訴訟の争点及び当事者の主張立証の核心となっているときには、その訴訟は実質において法令の適用によっては終局的な解決の不可能なものであって、法律上の争訟に当たらないとしています。 「板まんだら」事件

正しい 
単位授与(認定)行為は、他にそれが一般市民法秩序と直接の関係を有するものであることを肯認するに足りる特段の事情のない限り、純然たる内部の問題として大学の自主的・自律的な判断に委ねられるべきものであって、裁判所の司法審査の対象にはならないとしています。 富山大学事件

誤り 
衆議院の解散は、極めて政治性の高い国家統治の基本に関する行為であって、このような行為について、その法律上の有効無効を審査することは、司法裁判所の権限の外にあるとし、(苫米地事件)、法律上の争訟に当たることを前提として、統治行為論を理由に裁判所の審査が及ばないものとしています。
有効無効の審査が及ばないのは、「法的に不可能」が理由でなく、「統治行為論」が理由である。

正しい 
政党が、党員に対してした処分が一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審判権は及ばないとしています。 共産党袴田事件

正しい 
自律的な法規範をもつ社会・団体にあっては、当該規範の実現を内部規律の問題として自治的措置に任せ、必ずしも裁判に待つのを適当としないものがあり、地方議会の議員の出席停止のような懲罰はまさにそれに該当するとしています。

46 租税法律主義

誤り 
国又は地方公共団体が、課税権に基づき、その経費に充てるための資金を調達する目的をもって、特別の給付に対する反対給付としてではなく、一定の要件に該当するすべての者に対して課する金銭給付は、その形式のいかんにかかわらず、憲法84条に規定する租税に当たるとしています。 旭川市国民健康保険条例事件

誤り 
市町村が行う国民健康保険の保険料は、被保険者において保険給付を受け得ることに対する反対給付として徴収されるものであるから、上記保険料に憲法84条の規定が直接に適用されることはないとしています。

正しい
国民健康保険税は、目的税であって反対給付として徴収されるものですが、形式が税である以上は、憲法84条の規定が適用されるとしています。

正しい 
市町村が行う国民健康保険は、保険料を徴収する方式のものであっても、強制加入とされ、保険料が強制徴収され、賦課徴収の強制の度合いにおいては租税に類似する性質を有するものであるから、これについても憲法84条の趣旨が及ぶとしています。

47 財政

誤り 
国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基づくことが必要です。
したがって、内閣は、国会が議決した予算や予備費によることなく、閣議の決定によって財政上必要な支出をすることはできません。
なお、災害救助等緊急の必要があるときは、内閣は、予備費によって支出をすることになります。

正しい 
内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならないとされています。
予算について国会による審議・議決を経ることが必要とされているのは、国家財政に対する国会の監督を及ぼすためです。

正しい 
国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならないとされています。
このように、決算については、会計検査院による検査→内閣による提出→国会の審査という過程を経ることとされています。

正しい 
予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基づいて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができるとされています。
このように、予備費の設置は任意であり、義務ではありません。

正しい 
すべて皇室の費用は、予算に計上することを要し、かつ、国会の議決を経なければならないとされています。
これは、皇室財政につき国会のコントロールを及ぼすためです。

48 財政

誤り 
国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基づくことを必要とします。
したがって、国費の支出のみならず、国による債務の負担も、国会の議決に基づく必要があります。

誤り 
内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければなりませんから、予算の提出権は内閣にのみ認められており、前半は正しいです。
しかし、国会は、予算の減額修正をすることができ、また、予算の同一性を損なわない限り、増額修正をすることもできますから、後半は誤りです。

正しい 
予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基づいて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができますから、前半は正しいです。
また、すべての予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければなりませんから、後半も正しいです。

誤り 
憲法改正・法律・政令・条約を公布することは、天皇の国事行為とされています。
しかし、予算を公布することは、天皇の国事行為とはされていません。

誤り 
国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければなりません。
したがって、国の歳出の決算のみならず、歳入の決算についても、会計検査院の検査を受ける必要があります。

49 地方自治

正しい 
地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定めることとされています。

誤り 
一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票において、その過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができません。
したがって、3分の2以上の同意までは必要ありません。

正しい 
地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができます。

正しい 
地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置することとされています。

正しい 
地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙することとされています。

50 憲法改正

誤り 
憲法改正については、衆議院の優越が認められていませんので、憲法改正案をさきに衆議院に提出しなければならないとする規定は存在しません。
なお、予算は、さきに衆議院に提出しなければなりません。

誤り 
憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会がこれを発議し、国民に提案してその承認を経なければなりません。

誤り 
憲法改正については、衆議院の優越が認められていませんので、両議院の意見が一致しない場合でも、衆議院の議決が国会の発議となるわけではありません。

誤り 
憲法改正の承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とします。
したがって、3分の2以上の賛成は必要ありません。

正しい 
憲法改正について承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布します。