1 商法の適用範囲

誤り
商人とは、自己の名をもって商行為をすることを業とする者をいい、自己の計算において商行為をする者ではありません。
なお、「自己の名をもって」とは、自分が権利・義務の主体となってという意味です。

正しい
店舗によって物品を販売することを業とする者は、商行為を行うことを業としない者であっても、商人とみなされます。
このような者を擬制商人といいます。

誤り
商人の行為は、その営業のためにするものと推定されるにすぎず、みなされるわけではありません。

誤り
商法が掲げる商行為には、その行為の有する客観的な営利的性格から、当然に商行為となる絶対的商行為と、営業としてするときに限り、商行為となる営業的商行為があります。
したがって、営業としてするときでなくても、商行為となる場合があります。

誤り
商行為には、誰が行っても商行為となる基本的商行為と、商人がその営業のためにする行為である附属的商行為があります。
したがって、商人でない者の行為が商行為となる場合もあります。

2 名板貸
商人Aが、商人Bに対してAの商号をもって営業を行うことを許諾したところ、Aの商号を使用したBと取引をした相手方Cは、当該取引を自己とAとの取引であると誤認した。
本件取引の相手方の誤認についてCに過失がなかった場合、A・B・C間の法律関係に関し、正しいものはどれか。
 
解説
契約は実際に取引をしたBとCの間で成立しますから、CはBに対してのみ取引によって生じた債務の弁済を請求できるのが原則です。
しかし、BがAの商号を使用したためCは自己とAとの取引であると誤認しているわけですから、CからすればAに対しても債務の弁済を請求したいところでしょう。
そこで、自己の商号を使用して営業を行うことを他人(名板借人・B)に許諾した商人(名板貸人・A)は、自己が営業を行うものと誤認して当該他人と取引した者(相手方・C)に対し、当該他人と連帯して、その取引によって生じた債務を弁済する責任を負わなければなりません。

誤り
契約はAの商号を使用したBとCの間で成立しますから、本肢は誤りです。

正しい
契約はAの商号を使用したBとCの間で成立しますが、AはBと連帯して本件取引によって生じた債務について責任を負います。

誤り
契約はAの商号を使用したBとCの間で成立しますから、本肢は誤りです。

誤り
AはBと連帯して本件取引によって生じた債務について責任を負い、半分の割合で責任を負うわけではありませんから、本肢は誤りです。

誤り
契約はAの商号を使用したBとCの間で成立し、Cは、契約の相手方がAであるかBであるかを選択できるわけではありませんから、本肢は誤りです。

3 商業使用人

誤り
支配人は、商人に代わって、その営業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有します。
そして、支配人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができません。

誤り
支配人は、商人の許可を受けなければ、自ら営業を行うことも、自己又は第三者のために、商人の営業の部類に属する取引を行うこともできません。

正しい
商人の営業所の営業の主任者であることを示す名称を付した使用人は、相手方が悪意であった場合を除いて、当該営業所の営業に関し、一切の裁判外の行為をする権限を有するものとみなされます。

正しい
商人の営業に関する ある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人は、当該事項について、一切の裁判外の行為をする権限を有します。
そして、この代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができません。

誤り
物品の販売等を目的とする店舗の使用人は、相手方が悪意の場合を除き、その店舗にある物品の販売等をする権限を有するものとみなされます。

4 商行為の特則

誤り
商人がその営業の部類に属する契約の申込みを受けた場合において、その申込みとともに受け取った物品があるときは、その申込みを拒絶したときであっても、申込者の費用をもってその物品を保管しなければなりません

正しい
数人の者が、その一人又は全員のために商行為となる行為によって債務を負担したときは、その債務は、各自が連帯して負担します。

正しい
商人がその営業の範囲内において、他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができます。

誤り
商人間において、その双方のために、商行為となる行為によって生じた債権が弁済期にあるときは、債権者は、その債権の弁済を受けるまで、その債務者との間における商行為によって自己の占有に属した債務者の所有する物、又は有価証券を留置することができます

正しい
民法上は、質権者に弁済として質物の所有権を取得させることを契約で定めること(流質契約)は禁止されています。
しかし、商行為によって生じた債権を担保するために設定した質権については、このような流質契約も許されます。

5 商行為の特則

誤り
商行為の委任による代理権は、本人の死亡によっては、消滅しません。
商行為の代理においては、取引の安全を図る必要性が高いため、商行為の委任による代理権は存続するものとされています。

正しい
商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができます。
商人は営利目的で行動するのが通常ですから、商人の場合は、当然に報酬を請求できるものとされています。

正しい
数人の者がその一人または全員のために商行為となる行為によって債務を負担したときは、その債務は、各自が連帯して負担します。
商法では、債務の履行を確実にするために、連帯債務が原則とされています。

正しい
保証人がある場合において、債務が主たる債務者の商行為によって生じたものであるときは、その債務は当該債務者および保証人が連帯して負担します。
商法では、債務の履行を確実にするために、保証人の責任を強化し、連帯保証が原則とされています。

誤り
商人がその営業の範囲内において寄託を受けた場合には、報酬を受けないときであっても、善良な管理者の注意をもって、寄託物を保管する義務を負います。

6 商行為の特則
商行為の代理人が本人のためにすることを示さないでこれをした場合であって、相手方が、代理人が本人のためにすることを知らなかったときの法律関係に関し、商法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
なお、代理人が本人のためにすることを知らなかったことにつき、相手方に過失はないものとする。
 
解説
商法の規定によれば、商行為の代理人が本人のためにすることを示さないで、これをした場合であっても、その行為は、本人に対してその効力を生じ、相手方が、代理人が本人のためにすることを知らなかったときは、代理人に対して、履行の請求をすることを妨げないとされています。
したがって、相手方と本人との間に法律関係が生じ、相手方は代理人に対しても、履行の請求をすることができます。
のみならず、判例は、相手方保護のため、相手方は、その選択により、本人との法律関係、または代理人との法律関係のいずれかを主張することができるとしています。

誤り
相手方は、その選択により、本人との法律関係または代理人との法律関係のいずれかを主張することができるにすぎませんので、相手方と本人および代理人とのいずれの間にも、法律関係が生じるわけではありません。

誤り 
相手方と本人との間に法律関係が生じますので、本人にも効果が及びます。

誤り
相手方は、その選択により、本人との法律関係、または代理人との法律関係のいずれかを主張することができますので、代理人との法律関係を選択した場合には、履行の請求以外にもすることができます。

誤り
相手方と本人との間に法律関係が生じますので、本人に対しては、履行の請求以外もすることができます。

正しい
相手方は、その選択により、本人との法律関係または代理人との法律関係のいずれかを主張することができます。

7 株式会社の設立

誤り
募集設立の場合、発起人は、設立時募集株式の払込期日又は払込期間の末日のうち最も遅い日以後、遅滞なく、創立総会を招集しなければなりません。
これに対して、発起設立の場合、創立総会の招集は不要です。

正しい
会社の設立に際して現物出資を行うことができるのは、発起人のみですが、財産引受については、発起人以外の者も、その相手方となることができます。

誤り
発起人や設立時取締役が、設立に際して発行される株式の引受けがない部分の引受けをしなければならないという、引受担保責任は、会社法の成立に伴い、廃止されています。

誤り
設立時取締役が選任された後でも、設立事務を行うのは発起人です。
なお、設立時取締役は、設立事項(現物出資等について定款記載価額が相当であるか、出資の履行が完了しているか、設立手続に法令や定款違反がないかなど)の調査を行う権限のみを有します。

正しい
株式会社が成立しなかったときは、発起人は連帯して設立に関してした行為についてその責任を負い、設立に関して支出した費用を負担します。

8 設立・創立総会

誤り
募集設立の場合、発起人は、設立時募集株式の払込期日、又は払込期間の末日のうち、最も遅い日以後、遅滞なく、創立総会を招集しなければなりません。

誤り
創立総会においても、株主総会と同様、書面による議決権行使や電磁的方法による議決権行使が認められています。

誤り
創立総会の決議要件は、株主総会の決議要件とは異なり、原則として、議決権を行使できる設立時株主の議決権の過半数であって、出席した設立時株主の議決権の3分の2以上です。

正しい
発起人・設立時取締役・設立時監査役は、株式会社の設立について、その任務を怠ったことにより会社に損害が発生した場合には、連帯してその賠償をする責任を負います。
この会社に対する責任は、総株主の同意があれば、免除することができますが、創立総会の決議によって免除することはできません。

誤り
設立時株主は、創立総会における定款変更の決議に反対したとしても、株式買取請求権を行使することはできません。

9 設立・出資

正しい
株主となる者が設立時発行株式と引換えに払込み、または給付した財産の額は、その全額を資本金に計上することは要せず、その額の2分の1を超えない額を資本準備金として計上することができます。

正しい
発起人は、会社の成立後は、錯誤を理由として設立時発行株式の引受けの無効を主張し、または詐欺・強迫を理由として設立時発行株式の引受けの取消しをすることができません。

設立時発行株式を引き受けた発起人が出資の履行をしない場合には、当該発起人は、当然に設立時発行株式の株主となる権利を失う。
誤り
設立時発行株式を引き受けた発起人が出資の履行をしない場合、当該発起人は、失権予告付きで払込みを催告し、払込みがなければ、失権することになります。
なお、当然に設立時発行株式の株主となる権利を失うのは、発起人以外の払込人が出資の履行をしない場合です。

誤り
旧法では、発起人または設立時募集株式の引受人が払い込む金銭の額および給付する財産の額の合計が、定款に定められた設立に際して出資される財産の価額またはその最低額に満たない場合には、発起人および設立時取締役は、連帯して、その不足額を払い込む義務を負うとされていました(払込担保責任)。
しかし、この払込担保責任は、会社法の成立に伴い廃止されました。

正しい
設立時発行株式の総数は、設立しようとする会社が公開会社でない場合を除いて、発行可能株式総数の4分の1を下ることはできません。

10 株式会社の設立

正しい
発起人は、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする旨を定めようとするときは、その全員の同意を得なければなりません。

誤り
発起設立・募集設立いずれの場合でも、発起人は、必ず1株以上引き受けなければなりません。
したがって、募集設立の発起人についても、少なくとも1名が設立時発行株式を1株以上引き受ければよいわけではありません。

正しい
発起設立・募集設立のいずれの場合でも、発行可能株式総数を原始定款で定めていないときは、会社成立時までに定款を変更して定めなければなりません。

誤り
設立時取締役が選任された後でも、設立事務を行うのは発起人です。
設立時取締役は、設立事項(現物出資等について定款記載価額が相当であるか、出資の履行が完了しているか、設立手続に法令や定款違反がないかなど)の調査を行う権限のみを有します。

誤り
募集設立の場合、発起人でない者が、会社設立の広告等において、自己の名または名称および会社設立を賛助する旨の記載を承諾したときには、当該発起人でない者は発起人とみなされ(擬似発起人)、発起人と同一の責任を負います。
これに対して、発起設立の場合、このような擬似発起人の責任を定めた規定はありません。

11 設立・出資の履行

正しい
株式会社の定款には、株式会社の設立に際して出資される財産の額、または その最低額を記載または記録しなければなりません。

正しい
発起人は、設立時発行株式の引受け後、遅滞なく、その引き受けた株式につき、その出資に係る金銭の全額を払い込み、またはその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければなりません。
ただし、発起人全員の同意があるときは、登記、登録その他の権利の設定または移転を第三者に対抗するために必要な行為は、株式会社の成立後にすることができます。

正しい
発起人は、その引き受けた設立時発行株式について金銭の払込みを仮装した場合には、仮装した出資に係る金銭の全額を会社に対して支払う義務を負います。
そして、この義務は、総株主の同意がなければ免除することができません。

誤り
募集設立の場合、発起人は、払込みの取扱いをした銀行等に対して、払い込まれた金額に相当する金銭の保管に関する証明書の交付を請求することができますが、発起設立の場合、このような保管証明制度は廃止されていますから、前半は誤りです。
なお、証明書を交付した銀行等は、当該証明書の記載が事実と異なること、または当該金銭の返還に関して制限があることをもって、成立後の株式会社に対抗することはできませんから、後半は正しいです。

誤り
設立時発行株式の株主となる者が払込みをした金銭の額および給付した財産の額は、その全額を資本金として計上しなければなりませんから、前半は正しいです。
しかし、払込みまたは給付した額の2分の1を超えない額を資本準備金として計上することができるとされており、また、これは設立時発行株式の株主となる者の全員の同意があるときに限られませんから、後半は誤りです。

12 設立・発起人等の責任

誤り
株式会社の成立の時における現物出資財産等の価額が、当該現物出資財産等について定款に記載または記録された価額に著しく不足するときは、発起人および設立時取締役は、当該株式会社に対し、連帯して、当該不足額を支払う義務を負います。
しかし、この義務は、総株主の同意があれば、免除することができます。

誤り
発起人は、出資の履行において、金銭の払込みを仮装した場合には、払込みを仮装した出資に係る金銭の全額を支払う義務を負います。
しかし、この義務は、総株主の同意があれば、免除することができます。

正しい
発起人、設立時取締役または設立時監査役は、株式会社の設立についてその任務を怠ったときは、当該株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負います。
そして、この責任は、総株主の同意がなければ、免除することができません。

正しい
発起人、設立時取締役または設立時監査役がその職務を行うについて、悪意または重大な過失があったときは、当該発起人、設立時取締役または設立時監査役は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負います。

正しい
株式会社が成立しなかったときは、発起人は、連帯して、株式会社の設立に関してした行為についてその責任を負い、株式会社の設立に関して支出した費用を負担します。

13 設立・出資の履行

正しい
株式会社の定款には、設立に際して出資される財産の価額またはその最低額を記載または記録しなければなりません。

正しい
発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につき、出資の履行をしなければなりません。
ただし、発起人全員の同意があるときは、登記、登録その他権利の設定または移転を第三者に対抗するために必要な行為は、株式会社の成立後にすることができます。

正しい
発起人が出資の履行をすることにより、設立時発行株式の株主となる権利の譲渡は、成立後の株式会社に対抗することができません。

誤り
発起人のうち出資の履行をしていないものがある場合には、発起人は、出資の履行をしてない発起人に対して、期日を定め、その期日までに当該出資の履行をしなければならない旨を通知しなければなりません。
しかし、設立時募集株式の引受人の不履行の場合、当然に失権することになりますので、通知の手続をとる必要はありません。

誤り
会社の設立に際して金銭以外の財産により出資の履行をすること(現物出資)ができるのは、発起人のみです。
したがって、設立時募集株式の引受人が金銭以外の財産により出資の履行をすることはそもそもできませんので、裁判所に対し検査役の選任の申立てをする必要もありません。

14 株式買取請求権

正しい
単元未満株主は、株式会社に対し、いつでも自己の有する単元未満株式を買い取ることを請求することができます。

誤り
議決権制限株式とする旨の定款変更を行う場合には、株式買取請求権を行使することができません。

正しい
株式買取請求権を行使するためには、株主総会の決議に先立ち反対する旨を会社に通知し、かつ、株主総会でも議案に反対の議決権行使をしなければなりません。

正しい
株式の買取りを会社に対して請求した株主であっても、会社の承諾があれば、買取請求を撤回することができます。

誤り
発行する株式全部に譲渡制限の定めを設ける定款変更をする場合、譲渡制限種類株式・全部取得条項付種類株式とする旨の定款変更をする場合、株式の併合・株式の分割・株式無償割当て・単元株制度を採用する旨の定款変更等をする場合における株式買取請求により支払った金額が、分配可能額を超えた場合、取締役はその超過額について責任を負います。
これに対して、合併承認決議に反対する株主からの株式買取請求により支払った金額が分配可能額を超えた場合、取締役はその超過額について責任を負いません。

15 公開会社の株式(指名委員会等設置会社を除く)

誤り
会社は、株主総会の決議によってその全部を会社が取得する旨の定款の定めがある種類株式(全部取得条項付株式)を発行することができます。
しかし、全部の株式の内容として、全部取得条項付株式を発行することはできません。

誤り
会社は、株主総会において議決権を行使することができる事項について制限がある旨の定款の定めがある種類株式(議決権制限株式)を発行することができます。
しかし、全部の株式の内容として、議決権制限株式を発行することはできません。

正しい
会社は、譲渡による当該種類の株式の取得について、会社の承認を要する旨の定款の定めがある種類株式(譲渡制限株式)を発行することができます。

正しい
会社は、株主が当該会社に対して当該株主の有する種類株式を取得することを請求することができる旨の定款の定めがある種類株式(取得請求権付き株式)を発行することができます。

誤り
公開会社は、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において、取締役または監査役を選任する旨の定款の定めがある種類株式(取締役・監査役の選任権付き株式)を発行することができません。
なお、非公開会社は、取締役・監査役の選任権付き株式を発行することができます。

16 株式の取得・譲渡

誤り
株式会社は、株式を譲渡するには、会社の承認を得なければならない旨を定款で定めることができます。
これに対して、合併や会社分割などの一般承継による株式の取得について、定款において、会社の承認を要する旨の定めをすることはできません。

正しい
定款による株式の譲渡制限を設けた場合、定款に別段の定めがない限り、取締役会設置会社では、取締役会の承認を必要とし、それ以外の会社では、株主総会の承認を必要とします。

正しい
会社の承認を受けないでなされた譲渡制限株式の譲渡は、当該株式会社に対する関係では効力を生じませんが、譲渡の当事者間では有効です。

正しい
株式会社が子会社以外の特定の株主から自己株式を有償で取得する場合には、取得する株式の数及び特定の株主から自己株式を取得することなどについて、株主総会の特別決議が必要です。

正しい
子会社は、原則として、親会社の株式を取得することができませんが、合併により他の会社から親会社株式を承継する場合には、親会社株式の取得が認められます。
もっとも、子会社が例外的に親会社株式を取得することになった場合は、相当の時期にその有する親会社株式を処分しなければなりません。

17 取締役会設置会社での単元株制度
(監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社を除く)

正しい
株式会社は、その発行する株式について、一定の数の株式をもって株主が株主総会において一個の議決権を行使することができる一単元の株式とする旨(単元株制度)を定款で定めることができます。

正しい
株式会社は、単元未満株主が当該単元未満株式について残余財産の分配を受ける権利を行使することができない旨を定款で定めることはできません。

誤り
単元未満株主は、株式会社に対し、自己の有する単元未満株式を買い取ることを請求することができます。
このように、単元未満株主の株式買取請求権は、定款にその旨の定めがあるかどうかにかかわらず認められています。

正しい
単元未満株主は、定款の定めるところにより、自己の所有する単元未満株式の数と併せて、単元株式となる数の株式を自己に売り渡すことを会社に対して請求することができます。

正しい
株式会社が単元株式数を減少し、又は単元株式数についての定款の定めを廃止するときは、取締役の決定(取締役会設置会社では取締役会決議)により、これを行うことができます。

18 株主名簿

正しい
株式会社では、株主名簿の作成が義務付けられ、これに 株主の氏名・名称及び住所、株主の有する株式の数、株主が株式を取得した日、株券発行会社では株式に係る株券の番号を記載・記録しなければなりません。

正しい
株主名簿の名義書換がなくても、会社の側から取得者を株主と扱うことはできます。
したがって、基準日以前に株式を取得した者で、株主名簿に株主として記載または記録されていない者について、会社は、その者を株主として扱い、権利の行使を認容することができます。

誤り
株券不発行会社においては、株式の譲受人は、株主名簿の名義書換えをしなければ、当該会社及び第三者に対して株式の取得を対抗できません。
これに対して、株券発行会社においては、株式の譲受人は、株主名簿の名義書換えをしなければ、当該会社に対して株式の取得を対抗できませんが、株券の交付をすれば、第三者に対して株式の取得を対抗することはできます。

誤り
会社が株主による株主名簿の名義書換請求を不当に拒絶した場合には、当該株主は、会社に対して、株主であることを主張することができます。
なお、損害賠償を請求することもできます。

正しい
会社が株主に対してする通知又は催告は、株主名簿に記載・記録された株主の住所又は株主が別に通知した場所・連絡先に宛てて発すれば足り、当該通知又は催告は、それが通常到達すべきであった時に、到達したものとみなされます。

19 株主総会・決議無効確認の訴えにおいて無効原因となるもの

無効原因となる
公開会社は、取締役が株主でなければならない旨を定款で定めることができません。

したがって、取締役の資格を当該株式会社の株主に限定する旨の定款変更決議がなされた場合、決議内容の法令違反が生じており、無効原因となります。

なお、株主が全員出席した総会においては、株主総会の招集手続が一切なされなかったとしても、有効な株主総会決議となりますので、この点は問題ありません。

無効原因とならない
代表取締役以外の取締役によって招集された株主総会は、招集権限のない者により招集されたものであって、法律上の意義における株主総会ということはできず、株主総会決議があったものとはいえません。
したがって、代表権のない取締役が取締役会の決議に基づかずに招集した株主総会において、株主総会決議がなされた場合、無効原因ではなく不存在となります。

無効原因とならない
取締役の任期は、原則として、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までです。
もっとも、取締役の任期を定款又は株主総会決議で短縮することは可能です。
したがって、取締役の任期を、選任後1年以内に終了する事業年度に関する定時株主総会の終結の時までとする株主総会決議がなされた場合、決議内容の法令違反は生じません。

無効原因とならない
株主総会において議決権を行使する代理人を株主に限る旨の定款の規定は、有効です。
したがって、株主に代わって株主総会に出席して議決権を代理行使する者を、当該株式会社の株主に限定する旨の定款変更決議がなされた場合、決議内容の法令違反は生じません。

無効原因とならない
特定の株主から自己株式を取得する場合、株主総会の特別決議が必要であり、取得の相手方となる特定の株主は、原則として、この株主総会で議決権を行使することはできません。
したがって、特定の株主が保有する株式を当該株式会社が取得することを承認するための株主総会に、当該株主が出席して議決権を行使し決議がなされた場合、決議方法の法令違反が生じて取消原因とはなりますが、決議内容自体には法令違反がありませんので、無効原因とはなりません。

20 株主総会

正しい
取締役会設置会社においては、株主総会は、会社法に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができます。

正しい
取締役会設置会社においては、株主総会は、招集権者が株主総会の目的である事項として株主に通知した事項以外の事項については、決議をすることができません。
他方、取締役会設置会社以外の会社の株主総会においては、招集権者が株主総会の目的である事項として株主に通知した事項以外の事項についても、決議を行うことができます。

正しい
取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき株主(当該事項について議決権を行使することができるものに限る)の全員が、書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなされます。

誤り
株主総会の決議取消しの訴えの提起があった場合において、株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令・定款に違反するときであっても、裁判所は、その違反する事実が重大でなく、かつ、決議に影響を及ぼさないものであると認めるときは、その請求を棄却することができます。
したがって、株主総会の決議の方法に関する瑕疵が重大なものであるときは、裁判所は、請求を棄却することができません。

正しい
会社を被告とする株主総会の決議取消しの訴え、決議の無効確認の訴え、及び決議の不存在確認の訴えに係る請求を認容する確定判決は、第三者に対してもその効力を有します。

21 取締役

正しい
取締役会設置会社の場合、利益相反取引をした取締役は、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を取締役会に報告しなければなりません。

誤り
利益相反取引の直接取引について会社の承認を得た場合には、民法108条 自己契約・双方代理の禁止は適用されません。
したがって、Aが自ら会社を代表してA自身を借主とする契約を締結することは禁止されず、他の取締役が会社を代表しなければならないというわけではありません。

正しい
利益相反取引に関する取締役会の承認の決議に賛成した取締役は、利益相反取引が行われ会社に損害が生じた場合には、任務を怠ったものと推定され、会社に対して損害賠償責任を負います。
そして、取締役が株式会社に対して生じた損害を賠償する責任を負う場合において、他の取締役も当該損害を賠償する責任を負うときは、これらの者は、連帯債務者とされます。
したがって、Aが金銭の返済を怠った場合には、取締役会で金銭の貸付を承認した他の取締役は、Aと連帯して会社に対する弁済責任を負います。

正しい
取締役会の決議に参加した取締役は、議事録に異議をとどめなければ、決議に賛成したものと推定されます。

正しい
取締役が自己のために利益相反取引の直接取引を行った場合、株主総会の特別決議によっても損害賠償責任の一部免除をすることができません。
 

22 取締役の選任・解任

誤り
公開会社は、取締役が株主でなければならない旨を定款で定めることができません。
なお、非公開会社では、このような定款の定めをすることもできます。

正しい
取締役が欠けた場合又は会社法・定款で定めた取締役の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した取締役は、新たに選任された取締役が就任するまで、なお取締役としての権利義務を有することになります。

誤り
取締役が欠けた場合又は会社法・定款で定めた取締役の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した取締役は、新たに選任された取締役が就任するまで、なお取締役としての権利義務を有することになります。
これに対して、解任された取締役は、正当な事由の有無にかかわりなく、取締役としての権利義務を有しません。

誤り
取締役が欠けた場合又は会社法・定款で定めた取締役の員数が欠けた場合には、裁判所は、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより、一時的に取締役の職務を行うべき者を選任することができます。
そして、一時的に取締役の職務を行うべき者が株式会社の常務に属しない行為をする場合、裁判所の許可を得る必要はありません。
なお、株式会社の常務に属しない行為をする場合に裁判所の許可を得る必要があるのは、民事保全法56条に規定する仮処分命令により選任された取締役又は代表取締役の職務を代行する者です。

誤り
取締役の職務の執行に関し不正の行為又は法令・定款に違反する重大な事実があったにもかかわらず、当該取締役を解任する旨の議案が株主総会で否決された場合には、株主は、当該株主総会の日から30日以内に、訴えをもって当該取締役の解任を請求できます。
したがって、株主は、直ちに取締役の解任の訴えを提起することができるわけではありません。

23 取締役・取締役会設置会社(指名委員会等設置会社を除く)

正しい
取締役会設置会社の場合、取締役が自己または第三者のために会社と取引(利益相反取引の直接取引)をしようとするときには、その取引について重要な事実を開示して、取締役会の承認を受けなければなりません。

誤り
取締役が会社から受ける報酬等の額、報酬等の具体的な算定方法または報酬等の具体的な内容については、定款に当該事項の定めがある場合を除き、株主総会決議によって定めます。
したがって、取締役会の決定では足りません。

正しい
取締役会設置会社の場合、会社が取締役の債務を保証すること、その他取締役以外の者との間において会社と当該取締役との利益が相反する取引(利益相反取引の間接取引)をしようとするときには、その取引について重要な事実を開示して、取締役会の承認を受けなければなりません。

誤り
取締役が会社に対し、または会社が取締役に対して訴えを提起する場合には、監査役設置会社においては監査役が会社を代表しますから、前半は正しいです。
しかし、監査役設置会社でない取締役会設置会社においては、会社の業務に関する一切の裁判上の代理権を有する代表取締役が会社を代表しますから、後半は誤りです。 

正しい
取締役会設置会社の場合、取締役が、自己または第三者のために会社の事業の部類に属する取引(競業取引)をしようとするときには、その取引について重要な事実を開示して、取締役会の承認を受けなければなりません。

24 取締役会(公開会社)

正しい
公開会社が株主以外の第三者に株式の割当てを受ける権利を与える場合(第三者割当て)、取締役会決議で募集事項を決定すれば足ります。
したがって、会社が企業提携のために、特定の第三者に対して、募集株式を時価発行する場合には、取締役会の決定で足ります。

誤り
剰余金の額を減少させて資本金の額を増加させる場合、株主総会の普通決議が必要です。
したがって、会社が資本金を増加するために、剰余金を減少させる場合、取締役会の決定では足りません。

正しい
取締役会設置会社が取締役の個人的な債務を保証する場合、取締役会の承認を受けなければなりません。
したがって、会社が取締役のために、当該取締役の住宅ローンの保証人となる場合には、取締役会の決定を要します。

正しい
多額の借財をする場合には、取締役会で決議しなければなりません。
したがって、会社が事業拡大のために、銀行から多額の融資を受ける場合には、取締役会の決定を要します。

正しい
支店その他の重要な組織の設置・変更・廃止をする場合には、取締役会で決議しなければなりません。
したがって、会社が事業の見直しのために、支店を統廃合する場合には、取締役会の決定を要します。

25 取締役会設置会社の取締役会 
(指名委員会等設置会社および監査等委員会設置会社を除く)

誤り
取締役会の招集権は、原則として各取締役が有していますから、代表取締役がこれを招集しなければならないというわけではありません。

誤り
取締役会を招集する場合には、取締役会の日の1週間前までに、各取締役(監査役設置会社にあっては、各取締役および各監査役)に対して、招集の通知を発しなければなりません。
しかし、招集通知に議題を示す必要はありませんから、取締役会の目的である事項および議案を示す必要はありません。

正しい
取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数が出席し、その過半数をもって行います。

正しい
取締役会の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができません。

正しい
取締役会の決議に参加した取締役であって、取締役会の議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定されます。

26 代表取締役

正しい
代表取締役は、3ヶ月に1回以上、職務執行の状況を取締役会に報告しなければなりませんから、取締役会は3ヶ月に1回以上招集しなければなりません。
また、取締役会の招集権は、原則として、各取締役が有していますが、定款又は取締役会で招集権者たる取締役を定めることもできますから、取締役会の招集権者を代表取締役とすることもできます。

誤り
株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要な内部統制システムの整備構築をする場合には、取締役会で決議しなければなりませんから、代表取締役が決定することはできません。

誤り
会社と取締役の間の訴訟については、監査役が会社を代表します。
したがって、代表取締役は、取締役の義務違反により会社に損害が生じた場合であっても、当該取締役に対する責任追及のための訴訟を提起することはできません。

誤り
代表取締役は、取締役会決議に基づいて、代表権の一部を他の取締役に移譲することはできません。

正しい
取締役会は、法定事項や重要な業務執行について決定権限を有しますが、それ以外の会社の日常業務(常務)の意思決定については、代表取締役に委任することができます。

27 剰余金の配当

正しい
剰余金の配当は、確定した計算書類及びこれに準ずる計算書類を基礎に、同一事業年度内に何度でも行うことができます。

正しい
株式会社は、株主をその持株数や有する株式の種類に応じて平等に取り扱わなければなりませんから(株主平等の原則)、剰余金の配当について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款に定めることは、株主平等の原則に反して許されません。
なお、非公開会社では、剰余金配当請求権・残余財産分配請求権・議決権について、持株数に応じてではなく、株主(人)ごとに異なる取扱いをすることが認められています。

正しい
会計監査人設置会社であり、かつ、監査役会設置会社である会社が取締役の任期を1年以下と定めた場合、株主総会の承認に代えて、取締役会で剰余金の配当を決定することができる旨の定款の定めを置くことができます。

正しい
配当財産が金銭以外の財産であり、かつ、株主に対して金銭分配請求権を与えないこととする場合には、株主総会の特別決議が必要となります。

誤り
剰余金配当請求権と残余財産分配請求権の全部を与えない旨の定款の定めは無効となります。
もっとも、どちらか片方を与えないことは可能ですから、残余財産分配請求権を付与するのであれば、剰余金配当請求権を付与しない旨の定款の定めを置くことも許されます。

28 持分会社

正しい
持分会社の無限責任社員は、金銭出資や現物出資にかぎらず、労務出資や信用出資の方法が認められています。
なお、株式会社の社員(株主)は、金銭出資や現物出資に限られています。

正しい
持分会社の持分は、1人1持分であって、細分化されたものではなく、内容が均一化されたものでもありません。
なお、株式会社の株式は、細分化されたものであり、また、内容が均一化されています。

正しい
持分会社の社員は、定款に別段の定めがある場合を除き、各自で持分会社の業務を執行します。
そして、業務を執行する社員は、原則として、各自が持分会社を代表します。
なお、会社法上の公開会社である株式会社は、代表取締役や業務執行取締役が会社の業務を執行し、代表取締役が会社を代表します。

誤り
退社した社員は、原則として、その出資の種類を問わず、その持分の払戻しを受けることができます。
しかし、退社の登記は対抗要件にすぎず、退社の効力自体は登記によって生ずるわけではありません。
なお、株式会社の株主は、退社による株式の払戻しが認められていません。

正しい
持分会社が定款を変更するためには、原則として、総社員の同意が必要です。
なお、株式会社が定款を変更するためには、原則として、株主総会の特別決議で足ります。

29 事業譲渡

誤り
事業譲渡を行う場合、事業を構成する債権・債務及び契約上の地位を移転するためには、事業譲渡契約とは別にその契約上の相手方の同意が必要です。
したがって、譲渡会社と譲受会社の間で、譲渡する資産、債務、雇用契約その他の権利義務に関する事項を包括的に定めた事業譲渡契約を締結するわけではありません。

誤り
譲受会社が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合、譲受会社は、原則として、譲渡会社の事業によって生じた債務を弁済する責任を負いますから、前半は正しいです。
しかし、譲渡会社は債務を弁済する責任を免れるわけではなく、譲渡会社と譲受会社の不真正連帯債務となりますから、後半は誤りです。

正しい
譲渡会社は、当事者の別段の意思表示がない限り、同一の市町村の区域内及びこれに隣接する市町村の区域内においては、その事業を譲渡した日から20年間は、同一の事業を行ってはならないとされています。

正しい
事業の全部の譲渡または事業の重要な一部の譲渡(譲渡する資産の帳簿価格が総資産額の5分の1を超える場合)については、原則として、株主総会の特別決議が必要です。

誤り
事業の全部の譲り受けについては、原則として、株主総会の特別決議が必要です。
これに対して、事業の一部の譲り受けについては、対価として交付する財産の帳簿価格にかかわらず、株主総会の特別決議は必要ありません。

30 合併

誤り
合併の各当事会社は、株主総会の特別決議を経なければならないのが原則です。
しかし、存続会社に比べて消滅会社の規模が著しく小さい場合(合併対価の額が存続会社の純資産額の5分の1以下の場合)、存続会社においては、株主総会の特別決議を省略することができます。 簡易合併

誤り
合併の各当事会社は、所定の事項を官報に公告し、かつ、会社が把握している債権者には各別に催告しなければならないのが原則です。
しかし、公告方法として、定款に日刊新聞紙に掲載する方法又は電子公告を定めている場合は、各別の催告は不要です。

正しい
合併決議前に反対の意思表示をし、かつ、承認決議に反対した株主は、株式買取請求権を行使することができます。

正しい
会社の合併の無効は、各当事会社の株主・取締役等又は合併を承認しなかった債権者が、合併の効力が生じた日から6ヶ月以内に限り、訴えをもってのみ主張することができます。
そして、請求を認容する判決が確定したときは、その合併は将来に向かって効力を失います。

誤り
吸収合併とは、会社が他の会社とする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を、合併後存続する会社に承継させるもののことです。
また、新設合併とは、2つ以上の会社がする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を、合併により設立する会社に承継させるもののことです。
したがって、存続会社は消滅会社の債務を引き継がないとすることは不可能です。

31   商号・名板貸

誤り
譲受人が譲渡人の商号を引き続き使用する場合、譲受人は、原則として、譲渡人の営業によって生じた債務を弁済する責任を負います。
もっとも、譲受後、遅滞なく、譲受人がその本店の所在地において譲渡人の債務を弁済する責任を負わない旨の登記をした場合や、
譲受人及び譲渡人から第三者に対してその旨の通知をした場合には、責任を負いません

正しい
自己の商号を使用して営業を行うことを他人(名板借人)に許諾した商人(名板貸人)は、自己が営業を行うものと誤認して当該他人と取引した者(相手方)に対し、
当該他人と連帯して、その取引によって生じた債務を弁済する責任を負わなければなりません。
 

 

32 新株予約権

誤り
新株予約権と引換えに金銭の払込みを要する募集新株予約権を発行する場合において、募集新株予約権の割当てを受けた者は、割当日に、新株予約権者となります。

誤り
募集新株予約権の募集事項は、非公開会社では株主総会の特別決議で、公開会社では取締役会決議で決定しなければならないのが原則です。

しかし、募集新株予約権と引換えに金銭の払込みを要しないこととする場合にそれが特に有利な条件となるとき、
又は募集新株予約権の払込金額が特に有利な金額であるときは、有利発行の例外に当たり、募集新株予約権の募集事項は、株主総会の特別決議により決定しなければなりません。

これに対して、募集新株予約権の行使に際して出資する金銭その他の財産の価額が新株予約権を引き受ける者に特に有利な金額であるときには、
有利発行の例外に当たらず、原則どおり処理されます。

正しい
募集新株予約権の発行が法令もしくは定款に違反し、または、著しく不公正な方法により行われる場合において、株主が不利益を受けるおそれがあるときには、株主は、会社に対して募集新株予約権の発行をやめることを請求することができます。

正しい
新株予約権付き社債を有する者は、その新株予約権付き社債についての社債が消滅した場合を除き、新株予約権付き社債に付された新株予約権のみを譲渡することはできません。

誤り
新株予約権と引換えに金銭の払込みを要する募集新株予約権の払込金額は、新株予約権が行使された場合に初めて、資本金に計上しなければなりません。

33 取締役の法令違反行為に対し、株主が行使しうる権利

誤り
監査役、監査等委員会または監査委員会が設置されている株式会社の株主は、権利行使のために必要があるときは、裁判所の許可を得て、取締役会議事録の閲覧・謄写請求をすることができます。

誤り
会社の業務執行に関し、不正の行為、法令・定款に違反する重大な事実があることを疑うに足りる事由がある場合に、
総株主の議決権の100分の3以上の議決権を有する株主又は発行済株式数(自己株式を除く)の100分の3以上の数の株式を有する株主は、
株式会社の業務・財産の状況を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをすることができます。

正しい
監査役、監査等委員会および監査委員会が設置されていない株式会社の株主は、取締役が株式会社の目的の範囲外の行為その他の法令・定款違反の行為をし、又は、これらの行為をするおそれがある場合において、その行為によって会社に著しい損害が生じるおそれがあるときは、その行為の差止めを請求することができます。 

誤り
株主が会社を代表して責任追及の訴え(株主代表訴訟)を提起する場合、原則として、書面で会社に対して役員等の責任を追及する訴えを提起するように請求しなければなりません。

そして、会社が当該請求があった日から60日以内に訴えを提起しないときは、当該株主は代表訴訟を提起することができます。
したがって、直ちに株主代表訴訟を提起することができるわけではありません。

誤り
取締役の職務の執行に関し不正の行為又は法令・定款に違反する重大な事実があったにもかかわらず、当該取締役を解任する旨の議案が株主総会で否決された場合には、株主は、当該株主総会の日から30日以内に、訴えをもって当該取締役の解任を請求できます。

したがって、直ちに取締役の解任の訴えを提起することができるわけではありません。